抄録
長崎県対馬市で近年水産資源が年々減少しており漁業に影響が出ている.そこで日本で初めて市という枠組みで,海洋保護区の設定手法の検討が行われている.海洋保護区の設定には地元漁民との合意形成を図る必要がある.そこで本研究は合意形成を図る手段として,適切な保護区域を選定するための方法論の確立を目的とする.その第一段階として,長崎県対馬市を対象として聞き取り調査と漁業者と共同現地観測を行った.地理情報システムを用いて調査結果の集積・可視化を行った.その結果,海底地形と潮の流れと漁場には密接な関係があることが示唆され,その関係性から保護すべき場所を考慮する必要があると考えられる.また,GISを用いたデータの可視化は海洋保護区設定にとって効果的な手段であることが示された.