抄録
自律駆動型水素吸蔵合金アクチュエータ(A-MHA)による海水交換装置の現地適用に向け,低温度差条件に適した水素吸蔵合金の組成を検討とするとともに,その検討で得た合金を搭載したA-MHA実機を用いて函館港西埠頭前面海域で送水実験を実施した.その結果,ミッシュメタルを用いた合金は従来のランタン系合金に比べ,水素吸放出及び耐久性能が2倍程度向上することを解明している.また,現地実験では,A-MHA実機による海水送水量が予め推定した量の50%程度に低下するが,港奥下層海域での貧酸素水塊の形成を抑制できることを明らかにしている.最後に,準3次元多層流動モデルによる粒子追跡解析により,港奥海域の海水交換に要するA-MHAによる海水送水量を推定した結果,60m3/hr程度になることを示している.