2013 年 69 巻 1 号 p. 1-11
本研究では,地球温暖化に伴って変化すると予測される設計供用期間内の外力変化を考慮した防波堤の滑動量解析を行い,沿岸外力特性の変化が防波堤の滑動安定性に及ぼす影響を検討した.地球温暖化に伴う海面上昇や高潮偏差の増大,ならびに来襲波浪の増大を考慮した防波堤の滑動量解析を実施した結果,対象とした3つの沿岸外力のうちで波浪増大の影響が最も大きいことがわかった.また,本研究の設定条件では,地球温暖化を考慮すると期待滑動量が0.2m~1.8m増加し,温暖化を考慮しない場合と比べて60~200%増加した.したがって,今後の防波堤設計において,設計供用期間中の地球温暖化に伴う沿岸外力変化を考慮する必要があること示した.