抄録
河口域の自然干潟のタイドプールや澪筋等の微地形は,魚類の重要な生息場として評価され,浅場とは異なる役割を持つことが指摘されてきた.しかしながら,大都市運河域の造成干潟のタイドプールにおける魚類の生息場としての機能に関する報告は少ない.2002年に東京湾奥部の京浜運河で自然再生等を目的として造成した「大森ふるさとの浜辺公園」の干潟上に,生物多様性の豊かな環境創造を目的として,タイドプール等の微地形を造成した.この微地形の魚類相,ベントス,水質について調査し,造成したタイドプールの魚類生息場としての機能や環境特性について明らかにした.また,水深やサイズ,地盤高などの地形条件が異なるタイドプールについて,魚類生息状況を比較し,運河域の生物多様性にとって重要なタイドプールの条件についてまとめた.