2013 年 69 巻 2 号 p. I_1084-I_1089
東日本大震災や各種沿岸開発に伴う藻場の減少は深刻化しており,藻場の修復,造成技術の開発が望まれている.特に,浅海域で流動環境の多様性が期待できる海底勾配の急な部分から平坦部へ移行する場所への構造物の設置が求められるようになってきた.このような場所に設置する場合は,設置後の滑動,転倒さらには揚力に対する安定性に乏しくなるため,安定性向上のための技術開発も急務となっている.
本研究は,構造物底部に滑動防止用スパイク構造,内部に揚力軽減用空孔部を設けた新たな藻場造成構造物を設計し,実機実験による摩擦係数を算定した後,海底勾配の急な場所での安定性向上技術の開発を目的とした.また,これまで藻場造成構造物の安定計算の中で検討されていなかった揚力を軽減する技術も水理実験により検討した.