2013 年 69 巻 2 号 p. I_1102-I_1107
アラビア湾(ペルシャ湾)南部に位置する島(ムバラスショール)周辺の流況と,そのショールから発生するサンゴ卵・幼生の輸送について,潮流と吹送流を外力とした数値計算によりいくつかの検討を行った.その結果,このショール周辺では,年間を通して北西風が卓越していることから,サンゴ幼生は,概ね島南東方向へ輸送される傾向が示された.ただし,その輸送距離は風の強度により異なることから,輸送時期の風が弱い場合,サンゴ幼生はショール周辺に留まる可能性があることが示唆された.また,その輸送距離について2D計算と3D計算を比較した結果,風の影響が大きい場合にその差異が大きくなった.断面2次元計算により一方向風の影響特性を整理した結果では,風速が大きい程3D表層と2Dの流速差異が大きくなったことから,鉛直分割数を増やす必要性が確認された.