2013 年 69 巻 2 号 p. I_1228-I_1233
コムケ湖は,自然干潟が形成されている北海道北東部に位置する汽水湖であり,シギやチドリなど年間170~180種の野鳥が飛来している.このように多くの鳥類が生息する環境を保全するには,干潟域における生態系を理解することが重要である.しかし,過去の研究において,鳥類および水生生物の生息場所の物理的要因が明らかにされていない.そこで本論文では,鳥類および水生生物の生息場所の物理的条件を明らかにすることを目的とし,ボックスモデルを用いたコムケ湖全体の流動特性の基礎的検討を行った.その結果,海洋水が湖へ流入すること,さらに潮位変動よりも湖水位の変動が小さいことにより,コムケ湖における植物プランクトンの一次生産が高まる可能性が示された.