2013 年 69 巻 2 号 p. I_335-I_340
東日本大震災で確認された砕波を伴わない津波による橋桁の流出機構の解明に向けて,桁移動の有無を確認するための固定していない移動可能な桁と津波力を計測するための固定した桁に砕波を伴わない津波を同時に作用させる水理実験を実施し,桁に作用する津波力の特性を検討するとともにそれと桁の流出限界との関係を考究した.その結果,桁に作用する水平方向の津波力は抗力により概ね評価できるものの,桁に作用する鉛直方向の津波力は桁を設置していない状態での水位変動から求めた浮力では過大評価になることを示した.また,桁に作用する鉛直津波力を考慮した静止摩擦力と桁に作用する水平津波力の比較により桁移動の有無と桁の移動開始時刻を評価できることを確認し,桁の移動を評価する際における鉛直津波力の考慮の重要性を明らかにした.