2013 年 69 巻 2 号 p. I_389-I_394
津波の越流によるケーソン岸側での水圧の低下機構を数値計算により考究するとともに,現地の規模を想定した数値計算も行うことでその機構の現地スケールでの妥当性を検証した.その結果,ケーソンの岸側面に作用する水圧は,ケーソン上の越流が生じるまでは水圧と同位置の水位変動で評価できるものの,越流が生じてからは水位変動では大幅に過大評価することを示した.そして,この差はケーソン上を越流した流れの剥離に伴う渦の発生とその規模で説明できることを明らかにした.また,水圧が一時的に低下する現象は流速の増加により生じることが判明した.以上の現象は,現地スケールの検討でも確認した.さらに,ケーソンの沖側と岸側での水位が与えられれば,近似式によりケーソンの岸側面に作用する波力の低減率が簡易的に推定できることを示した.