抄録
静岡県の駿河・富士海岸と富山県の下新川海岸に設置されたコンクリートブロックの摩耗量を調査した結果,設置後の経過年数に応じた摩耗量の増加が確認された.多変量解析によって,波高,標高も摩耗速度に対して有意な影響を及ぼしていることがわかり,現地海岸における摩耗量を推定するモデル式を提示した.回転ドラム型試験機を用いてコンクリート供試体を摩耗させたところ,現地海岸と同様の摩耗作用を再現できることが確認され,現地における摩耗と摩耗促進試験の対応関係を導き出した.この手法を用いて摩耗させた繊維シートは,駿河海岸における現地曝露で得られた繊維シートよりも,やや劣化が大きくなる傾向にあったが,本手法によって礫海岸における摩耗耐久性の照査が可能であることが示された.