抄録
メコンデルタの洪水リスクを評価するためには,今まで十分に考慮されてこなかった潮汐の影響の理解が不可欠である.加えて,将来的な洪水リスクの議論では,海面上昇の検証が必要となる.本研究では,潮汐と海面上昇がメコンデルタ都市の洪水頻度や浸水深に及ぼす影響を検証した.メコンデルタ最大の都市Can Thoは,河口より80km内陸に位置するが,河川水位は年間を通じて潮汐の影響が支配的であり,半日周潮,日周潮および年周潮の影響が顕著である.Can Thoの川岸では,現在年間2.5%程度の時間帯で浸水が発生しており,市内の主要道路では膝上程度の浸水が発生している.海面上昇により,将来洪水頻度が増加し,現在は雨季に集中している浸水が将来的には年間を通じて発生することが定量的に示された.