2014 年 70 巻 2 号 p. I_1020-I_1025
福島県松川浦への淡水流入量の推定および浦口周辺の水圏環境についてモニタリングを行った.水収支式によって,淡水流入量を推定した結果,陸域からの流出量(11,839.1万m3/yr)に対して,河川流量が93.1%(11,069.1万m3/yr),地下水量が6.9 %(824.6万m3/yr)と推定された.地下水量824.6万m3/yrは0.26m3/sであり,松川浦流域の小河川である梅川の推定流量0.19m3/sと同レベルの値であった.浦口周辺の地形は,汽水湖の典型的な地形であるFlood Tidal Shoal(浅瀬)と水深の深い水路で特徴づけられ,下げ潮時の観測では表層・底層共に流速分布はほぼ同程度であることが分かった.また,潮汐と潮流は基本的に同位相に近く,観測地点においては流速が最大で約1.0m/sであった.2013年9月6日から11月7日にかけての浦口のChl.a濃度は0.1~9.9μg/ℓの範囲で,平均値は3.6μg/ℓであった.