土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.30
セットバックにより出現した砂浜空間における海浜植生の成立過程に関する現地調査
渡辺 国広草加 速太稲田 敏昭諏訪 義雄
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 70 巻 2 号 p. I_1026-I_1031

詳細
抄録
 セットバックによって砂浜が創出された場合の環境変化を把握するために,伊勢湾西南海岸でセットバック直後から約4年半にわたって定期的に植生調査を実施したところ,セットバック後の約3ヶ月間は非海浜性の植物が急速に繁茂して海浜表面を覆い,その後,徐々に海浜植生の割合が増加したことが観察された.この遷移は波浪作用を直接受けない箇所でも進行したが,波浪を受ける箇所では高波浪のたびに海浜植生への遷移が急激に進んでおり,波浪による攪乱が海浜植生への遷移を促すことが示唆された.波浪遡上の履歴の推定と地形,底質等の現地観測の結果より,遷移を促す波浪は地形変化や底質の交換を起こすほどでなく,表面を洗う程度でも十分であると推察された.
著者関連情報
© 2014 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top