土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.30
数値シミュレーションを用いた博多湾におけるアサリ浮遊幼生の挙動解析
横山 佳裕藤井 暁彦中嶋 雅孝内田 唯史
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2014 年 70 巻 2 号 p. I_1080-I_1085

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抄録
 本研究では,博多湾における季節の違いによるアサリ浮遊幼生の挙動を,数値シミュレーションを用いて解析した.その結果,(1)各産卵場から産まれた浮遊幼生は,産卵場周辺の流れや出水に伴う海水表層の流れの変化により,博多湾内を移送される経路及び分布の特徴が異なる.また,出水期には非出水期と比べ多くの浮遊幼生が湾外へ流出し,各生息場へ供給される幼生の数は減少する.(2)出水が少ない春季や秋季に産まれた幼生の着定や着底後の成長・生残の状況により,アサリ資源量が変動する可能性がある.(3)アサリ資源の形成・維持のためには,春季・秋季産まれの稚貝の成長・生残を高める生息場の保全が重要である.博多湾央海域のアサリ生息場を保全し,資源量を増加させることにより,西側海域への幼生の供給量が増え,アサリ資源の形成に繋がることができると推察された.
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© 2014 公益社団法人 土木学会
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