2014 年 70 巻 2 号 p. I_1110-I_1115
太田川市内派川である京橋川には上げ潮により河口から浮遊物質が輸送され約1cm/年程度の有機泥堆積がある.市内派川では河岸に堆積したヘドロの浄化と生態系の再生が取り組まれており,市内中心を流れる京橋川河岸においても底質改善技術の実証が行なわれている.本論文では河岸干潟に構築したアルカリ剤造粒物である石炭灰造粒物層内での酸化物による底質の改善状態を評価するための調査項目および分析結果について考察した.有機物特性を把握するため,有機泥のC/IL比(有機物組成),燃焼特性(含水量,不安定有機物量等),n-ヘキサン抽出物質(油脂類),酸素消費速度(ODU量),pH~ORP関係を指標とした.提案した分析指標により,石炭灰造粒物層内に溶出した陽イオンの効果が還元化した有機泥に顕著に現われること等を確認でき,その浄化能力が認められた.