抄録
沖縄海域において波浪,流速,水温,塩分の現地観測を実施した.観測時期は冬季・夏季の2季であり,それぞれ30昼夜の連続観測を行った.本報告では,得られた観測結果のうち,以下の3種類の現象について示した.(1) 夏季の那覇港沖・浦添海岸沖では,常時底層付近に顕著な水温の短周期変動がみられた.半日周期が卓越しており,内部潮汐に伴う水温変動であることが推察された.(2) 典型的な裾礁型サンゴ礁域である白保海岸において,冬季・夏季の高波時における流動特性を明らかにした.砕波に伴うWave-setupにより,E系波浪が卓越する冬季は礁内では西流が卓越する.S系波浪が卓越する夏季は礁内で東西と分流となる.このような流動特性を水位データを用いて説明することができた.(3) 夏季の白保海岸裾礁域において,静穏時と高波時の水温変動の違いを確認できた.静穏時は礁内外の海水のやりとりによる半日周期の水温変動が明瞭になる.高波時は鉛直混合が強化され,鉛方向に一様の水温分布となる.