抄録
微小振幅波理論の波長に関する25種類の単一式で表される1段階近似式(AES)および1段階AESを初期値とするNewton法の第1回反復解を用いる2段階AESを前者の最大相対誤差ε(1)maxの大きさに従って7グループに分類し,それぞれの相対誤差εの範囲と相対水深h/L0に伴う挙動を調べた.また浅海と准深海に対する区分AESを組み合わせた合成近似式(CPAES)について同様の検討を行った.結果はつぎのようである.1)1段階AESのε(1)maxは0.0012~5.2%と広い範囲に分布する.2)2段階AESでは1段階AESに比べて10-2~10-5以下の比率でε(2)maxが減少し,波長計算の効率的高精度化が可能になる.3)CPAESでは1段階AESよりさらに高い精度が得られる.4)最大相対誤差と計算負荷を考慮して適切な近似式の選択が可能になる.