2014 年 70 巻 2 号 p. I_420-I_425
津波による桁の流出被害の適切な評価に向けて,β値に含まれる水平波力の評価やβ値では考慮されていない鉛直波力の取り扱いについて検討するために,砕波を伴わない津波を桁に作用させる水理実験を実施した.水理実験の結果より,津波高が比較的小さいときには,長方形板の抗力係数と水位変動の影響を考慮した投影面積に基づく抗力により水平波力を評価できることを明らかにした.また,津波作用時に桁の下面の圧力が低下する現象が確認できたことから,この圧力の低下による力を揚力が下向きに作用するとしたダウンフォースとしてモデル化した.その結果,鉛直波力が増加し始めてからピークに達し,負に転じるまでは,桁を設置していない状態での水位変動から求めた浮力にダウンフォースの影響を考慮することで鉛直波力を概ね評価できることを示した.