2014 年 70 巻 2 号 p. I_456-I_461
津波に強い建築構造形式としてピロティ構造が注目されているが,エレベーターホールや1階天井に作用する津波波力については,未解明な点が多い.そこで,水理実験により,ピロティ構造本体,エレベーターホールなどの1階小規模構造物,天井板に作用する津波波力の作用特性について検討した.
ピロティ形式とすることで構造物全体に作用する津波波力は有意に低減できるが,特に立ち上がりが急な津波波形では既存のガイドラインによる算定波力を上回る波力が2階壁面および1階小規模構造壁面に作用することが分かった.さらに,津波高が1階の高さより低くても,小規模構造の存在により2階壁面にも津波波力が有意に作用することが確認された.また,1階小規模構造前面の天井板には,一般的なオフィスビルのスラブの設計外力より2オーダー大きな揚圧力が計測された.