2014 年 70 巻 2 号 p. I_49-I_54
東京湾に津波の被害が発生する可能性がある歴史津波である慶長地震と元禄関東地震さらに中央防災会議が想定している東京湾北部地震の3つを対象として数値解析を行い,陸上部での最大浸水深を求めた.被害額算出については治水経済調査マニュアルに従い被害金額を求めた.津波対策は防潮堤,内部護岸,水門の3つの強化や家屋のピロティ化(高床化)の費用を算出し,被害金額と建設費用を比較して計画の妥当性を検討した.被害金額は最も大きい慶長地震で6.95兆円となり,浸水防護施設の強化は1.05兆円, ピロティ化費用は15.0兆円となった.地震の発生確率を用いて1年間当たりの予想津波被害額は2094億円となり,構造物の耐用年数を50年とすると防護施設の強化で費用便益比が9.97, ピロティ化の補助金を6割補助までの場合に費用便益比が1以上となった.