2014 年 70 巻 2 号 p. I_516-I_521
海岸堤防を越流した津波による裏法尻の洗掘現象を対象に,津波と地形変化の相互作用が解析できる数値計算モデルによる再現計算を行い,海岸堤防の粘り強さの効果を定量的に評価する際に有用と考えられる数値解析技術の確立に向けた検討を行った.その結果,堤防の法面を階段状に近似した影響を受け,裏法での水位を過大評価し,流速を過小評価する傾向が現れることを確認し,直交格子を用いて数値計算を行う際における斜面のモデル化の重要性を示した.また,津波越流時に基礎工の周辺には滲出流が生じていたことを踏まえ,浸透滲出流の影響を考慮した漂砂計算手法を用いた計算を行った結果,漂砂計算に浸透滲出流の影響を考慮することで津波作用後の地形の再現性が向上することが判明し,本現象を検討する際における浸透滲出流の重要性を示した.