抄録
港湾施設で多用される海洋鋼構造物は,常に海水の影響を受ける過酷な腐食環境にあり,防食工によって供用期間中の所定の性能を確保している.
本稿では,電気防食に流電陽極方式を採用し,建設後40年経過した鋼管杭式ドルフィン形式の桟橋において実施した,陽極の段階的な取付と鋼管杭の電位測定,陽極の電流測定の結果について報告する.電位変化の傾向については,新設陽極取付時の電位変化は時間経過に伴い減衰すること,陽極の電位変化の効果は周囲の杭に現れること等がわかった.さらに,電位変化について統計的に分析した結果,これらの要素を考慮すれば,陽極取付時の電位予測モデルを高い精度で作成できた.これを用いて桟橋全体系での電気防食の設計として,陽極の取付本数や配置を設計できる.