抄録
石川県内灘海岸は,金沢港北東側に隣接する遠浅の砂浜海岸である.本研究では,1947~2003年に撮影された航空写真に基づく汀線位置・形状の長期変動特性及び1998~2010年に取得された深浅測量結果に基づく断面地形の中期変動特性について解析を行うとともに,近年離岸流事故が頻発する,内灘海水浴場付近(金沢港東防砂堤から約1km区間)を対象としたGNSS測量を実施して内灘海岸に発達するラージカスプの形状特性について検討した.金沢港建設の影響により急速な堆積が進んだ領域は港湾に隣接する約1.5kmの区間であり,近年は安定化の傾向にあることが示された.航空写真及びGNSS解析の双方でラージカスプの形成が観察されたが,港湾近接部ではカスプのスケールが縮小傾向にあることが確認された.