2015 年 71 巻 2 号 p. I_1155-I_1160
あらかじめ造成した人工干潟基盤において,後からスラリー化した浚渫土を圧入して干潟を順次拡幅造成する工法を提案している.1箇所の圧入口からより多くの浚渫土を圧入するため覆砂層の下に厚さ70~100cmのカルシア改質土による固化層を造成する構造について,圧入量を求めるため数値解析と室内圧入実験を行った.数値解析では固化層を弾完全塑性体と仮定したが,固化層に補強が無い場合,室内試験では計算の約6割の圧入にとどまった.これは引張によって固化層に亀裂が発生したためである.しかし,ロープネットを固化層と一体化する補強を行うことにより,計算結果と同様かそれ以上の圧入が可能となった.これは,補強によって圧入した粘土は固化層の下部で均質に拡がること,圧入中に固化層に亀裂が生じた後も補強により亀裂が拡大せず圧入が継続できたこと,によると考えられる.