2015 年 71 巻 2 号 p. I_365-I_370
海面高度計およびArgoフロートデータを用いて3次元海洋密度場を推定し,TS(水温・塩分)nudgingと呼ばれる簡易的な4次元データ同化を組み込んだ領域海洋循環モデルROMSを用いて,日本沿岸の黒潮流域における海洋構造の再現性について検討した.水平・鉛直密度構造,メソスケール変動強度,黒潮流路および強度などに関する詳細な比較を行い,本手法の高い再現性を示した.この密度推定法は原理的にほぼ全球に適用可能であり,公開されているデータのみを用いるので新たなコストを必要としないため,一般性・汎用性が極めて高い.JCOPE2に代表される高品質な海洋再解析データが存在しないような海域に対しても適用可能であり,ダウンスケーリング海洋モデリングに広く用いることが可能である.