抄録
航跡波が発生する石垣港内において波浪,目視観測による現地調査を実施した.波浪観測は,波高計の設置・撤去を含む3日間の連続観測を実施し,目視観測は,中日1日に実施した.観測データの解析結果に基づいた本研究の成果は以下の通りである.(1)石垣港内で発生する航跡波は,波高増幅に大きく寄与していた.(2)航跡波の波浪諸元として,最大波高、有義波高,有義波周期,波向を定量的に把握できた.(3)航跡波に対する消波ブロックの反射率は,一般的な反射率よりも小さい値となった.
従って,本研究成果は,外洋波である外的要因に対して静穏性が確保されている港湾も,航跡波による内的要因によって静穏度が低下している可能性があるとともに,港湾の指標の一つである静穏性を評価する上で,貴重な基礎資料となった.