2015 年 71 巻 2 号 p. I_455-I_460
サンゴ礁州島の形成機構は様々な報告,研究が行われているものの観測データの取得事例は少なく,州島形成場の波浪場,海浜流場は依然未解明である.本研究では,西表島北方リーフ上にサンゴ礫だけで形成されるバラス島を対象として現地調査を行い州島形成場の外力評価を行った.さらにそれを補完する数値計算を行い州島形成に至る外力場の検討した.その結果,バラス島周辺のリーフ上では,来襲波浪に時空間的な位相差が見られることやサンゴ礫移動外力としてはリーフ内の流れよりも波浪が卓越する可能性が高いこと,バラス島付近では鳩間島の遮蔽とバラス島北側の二つの窪地の屈折効果によりバラス島に向かうNE,NW双方向からの波浪が生じ,窪地背後のリーフ中央部ではサンゴ礫が集積されるポテンシャルが高いことが明らかとなった.