抄録
本研究では,新潟地震による地殻変動データを用いて,その断層モデルの再評価を行っている.AbeモデルおよびMatsuhashiモデルの断層面と走行を基に10km×10kmの小断層に分割して,地殻変位が一致するように小断層のすべり量を逆推定した.その結果両断層モデルにおいて,震源近傍の小断層のすべり量が8m程度と最も大きく,断層の北端のすべり量も3m以上と断層が北側に伸びている可能性が示唆された.
地殻変位データを用いた津波波源域のインバージョンの精度を定量的に評価するために,断層位置から断層幅Wを基準として何倍の位置の地殻変位データがあれば,精度良く逆解析が行えるかを数値シミュレーションにより検証を行った.その結果,相対無次元距離の値が1以下の地殻変位データがあれば,誤差ノイズが10%程度でも許容される精度でインバージョンが行えることが分った.