抄録
浚渫土を活用して造成した徳山下松港大島人工干潟は,アサリに適した成育場機能の維持・管理を整備目標の一つとしてあげており,造成後も定期的な調査を継続している.調査の結果,食害によりアサリ資源量が減少する事が明らかとなり,食害防止対策として干潟上に被覆網を設置している.その結果,魚類に対する食害防止対策として効果は発揮したものの,低地盤高では潜砂性巻貝の一種であるツメタガイによる食害が続いていた.そこで,ツメタガイの食害防止対策として,地盤環境に着目した水槽実験を実施した.その結果,10~20 mmの礫を覆礫厚100 mm以上覆礫することにより,食害を抑えられることが明らかとなった.今後,実海域において食害防止対策として実証実験を実施し,アサリ生息場環境の効果的な維持・管理方法の一つとして提案していきたい.