2015 年 71 巻 2 号 p. I_874-I_879
地下水からの供給に由来する塩類集積における「塩害→砂漠化」の地球環境問題は,世界の農業生産を減少させる主要因の1つで,世界の水・食料問題にもつながる大きな課題である.筆者らは,砂礫材で構成されるキャピラリーバリアの礫代替材として,塩害地域でも比較的に入手が容易な貝殻を利用できることを見出した.自然材料で主成分がカルシウムである貝殻は,貝塚などで数多く実証されているように,長期的な劣化がほとんどない利点も合わせ持っている.
本研究は,貝殻を用いたキャピラリーバリアの塩類集積防止の効果と性能を確認するために,円筒実験装置を用いて毛管上昇の遮断効果を貝殻層の厚さをパラメータにして実施した.その結果,貝殻層は薄くても,地下水の毛管上昇を遮断し塩類集積防止策として有効であることを実験的に明らかにした.