抄録
本研究はシルト・クレイ率と地盤高さという2つの物理的な底質環境の変化から生物群集を予測する底質環境・生物群集対応関係の洪水直後の適用性について検証を行った.50地点を対象に洪水直後において干潟全体のシルト・クレイ率は増加傾向にあり,地盤高さは干潟下流部で大きく変化している地点が確認された.底生生物の個体数および種数は洪水直後に減少し,翌年には洪水前と同程度に回復していたことから,底質環境および底生生物に及ぼす洪水の影響が伺えた.底質環境・生物群集対応関係の洪水直後の適用性について,平水時の予測と比べると洪水後の一致率は大きく減少し,洪水のようなイベントに対する底質環境・生物群集対応関係を用いた底質環境の変化から生物群集を予測することが可能な地点および生物群集の特徴を抽出することができた.