抄録
空中写真や深浅データなどを基に北九十九里浜の汀線変化と飯岡漁港周辺の海浜変形について調べた.深浅データの分析によれば,飯岡漁港の南防波堤建設後,屏風ヶ浦から供給された土砂が南防波堤周辺域に堆積し,1980~1990年には6.2×104m3/yrの割合で土砂量が増加した.その後は,堆積域が満杯となって漂砂が下手側へと流出したため,堆積速度は1.3×104m3/yrへと漸減傾向を示した.一方,南防波堤による波の遮蔽域内に入る下永井・横根海岸での1977~2014年の堆積速度は6.5×104m3/yrであり,上手側からの供給量とほぼ一致した.以上より,現況では屏風ヶ浦方面からの供給土砂が下永井・横根海岸に集中的に堆積し,下手側にはほとんど供給されていないことが明らかとなった.