抄録
波浪による海底パイプラインの浮上や,海底砂地盤の液状化による海底地すべり等の災害が報告されている.加えて,新しいエネルギー資源として注目されているメタンハイドレートの生産においても表層地盤の崩壊が危惧されるなど海底地盤を対象とした防災技術の重要性が高まっている.本論文では,海底砂地盤の液状化現象に着目し,底泥および海水中に既に生息している微生物の機能を活用して砂の間隙中に炭酸カルシウムを析出させることにより,低環境負荷で液状化強度改善効果を得る新しい原位置地盤改良技術に着目した.本文では,富山・新潟県境付近の海底で採取した底泥中に生息しているウレアーゼ活性陽性微生物の働きを高め,豊浦砂表面にカルサイトを析出させることで液状化強度を改善する微生物固化技術の有効性について検討した結果を報告する.