抄録
サンゴ礁州島の形成・維持機構について,様々な現地調査や実験,数値計算が行われてきているが,サンゴ礫の移動特性や州島の地形変化特性に関する現地調査は少ない.本研究では,西表島北方リーフ上にサンゴ礫だけで形成されるバラス島を対象として継続調査を行い,バラス島周辺の外力場を評価するとともに,州島の形成を担うサンゴ砂礫の移動特性について検討した.その結果,サンゴ礫の移動に対して,潮流ではなく波が支配的であり,特に移動限界シールズ数は0.02程度で既往の研究と概ね一致することがわかった.また,着色礫の追跡により島の東西から来襲する波によってリーフフラット上のサンゴ礫が島へ集積されることが明らかとなった.さらに,斜面法尻部に設置したセディメントトラップ調査から島南方へのサンゴ礫流出が確認された.したがって、サンゴ礁州島がリーフ上のサンゴ礫の集積とリーフ斜面への流出によって維持形成されていることが明らかとなった.