抄録
本研究は,宍道湖・中海連結で両湖の年間流動シミュレーションを実施し,その精度を検証するとともに,水平メッシュサイズの細密化が塩分遡上の再現性に与える影響について検討することを目的としている.三次元非静水圧モデルを用い,2種のメッシュを設定し,2012年1月1日から2年間の流動計算を行った.モデルの季節変動の再現性については,水位・水温は全地点で良好な再現性が見られたが,宍道湖では400mメッシュの塩分計算値が過大評価となっていた.大橋川における塩分溯上については,観測値に比べて塩分変動の振幅が小さく計算されており,モデルは水平メッシュサイズによらず成層が弱くなりやすいことが示された.大橋川における400mメッシュの計算流量は200mメッシュの2倍に相当することから,メッシュ細分化による影響は通水量が適切に計算されるため精度の向上に繋がる事が示唆された.