抄録
富栄養化した閉鎖性海域ではしばしば赤潮が発生し,漁業被害に発展する場合もある.本研究の目的は,水質自動観測データと気象データを使用してリアルタイムに植物プランクトンの大量発生(赤潮)を予測するシステムを構築することである.赤潮予測システムは実用性を考えて,当日の6時から18時の水質・気象データから翌日の赤潮発生を予測するものとした.予測システムの構築にあたって,赤潮発生情報と水質データの比較により,赤潮は表層溶存酸素濃度が150%以上と定義することを提案した.また,表層水温・表層塩分・海上風速・全天日射量が赤潮の前兆現象として確認され,それぞれのSIモデルを提案した.当初の赤潮予測システムは,連続して発生する赤潮の予測が困難であったが,改良された赤潮予測システムの予測適中率は59%(通常の赤潮発生率の2.8倍)であり,実用的なレベルであると判断された.