2017 年 73 巻 2 号 p. I_48-I_53
開発途上国では様々な環境問題が発現しているが,海岸侵食は最も深刻な問題の一つである.途上国においては木杭のようなローカル材料を利用した低コストの侵食対策が必要とされるが,科学的には有効性が十分に検証されておらず,最適な設計法も確立されていない.本研究では,現在急激な海岸侵食が起きているベトナム・ファンティエット海岸を対象として不規則波条件での高解像度波浪解析を行い,木杭の性能評価や力学設計に3次元流体解析が有用であるか確認した.スーパーコンピュータを用いた3次元流体解析により木杭列を詳細に再現し,消波性能や耐力を遡上軽減量や曲げ応力で簡易的に評価した.また,不規則波を3次元解析で考慮することで,規則波では十分に現れない杭背後の複雑な波の重畳や水位の増幅,水塊の滞留を評価できることを確認した.