2017 年 73 巻 2 号 p. I_707-I_712
据付時に浮遊状態にある上部斜面堤ケーソンの3次元的な動揺特性を数値解析により考究した.その結果,計算負荷の軽減のためにバラスト水を剛体として取り扱ったとしても,本研究の条件の範囲では,新設函の動揺の振幅に与える影響は小さいことが判明した.この取り扱いの下で水理実験との比較を行い,数値解析で得られた新設函の動揺の振幅は係留時のYawを除いて水理実験結果と概ね一致しており,数値解析の再現性を確認した.Rollが極小値をとった直後にPitchやHeaveが負となることで新設函の底面の沖側かつ既設函側の隅角部が沈み込み,マウンドとの接触可能性が生じることを確認し,Pitchの評価が行える3次元解析の重要性を示した.新設函の動揺の全振幅が比較的大きい相対堤体幅が小さい条件では,係留索の設置により全振幅を低減させられることが判明した.