抄録
2017年7月の九州北部豪雨では,多数のため池が被災,決壊に至った.九州北部豪雨で決壊した山の神溜池の下流部に位置する鎌塚溜池でも被災が報告されている.被災要因は複雑であるが,ため池のような規模だけでなく,海域,湖沼,貯水池でも斜面崩壊等で土砂が流入,移動することで発生する流動,波動で周辺構造物や人的被害を生じることがある.本研究では,OpenFOAMを用いて土砂を密度流として扱う事で土砂の静水域への流入による現象へのモデルの妥当性を検討した.精度検証として実験を実施し,数値解析による再現ができた.OpenFOAMで本現象を再現するには,土砂の動粘性係数νと密度ρ,土砂に関する界面の表面張力σをチューニングすることで再現性が得られた.また,解析結果から土砂流周辺の流速分布を把握することができ,土砂流先端のnoseとheadの形成過程を捉えることができた.