抄録
国際海上コンテナ輸送は,企業のグローバリゼーションを大きく進展させてきた.しかし,超大型コンテナ船就航やアライアンス再編に起因する船混み等により,定時性の顕著な低下が聞かれる.定時性が確保できない場合,グローバル・サプライチェーンの存続が脅かされる恐れがある.本研究は,日本の対欧州輸出を例に,輸送の定時性の実態を把握・分析し,輸送の遅れが日欧の経済に与える影響を試算し,今後の方向性について考察を加えたものである.その結果,欧州直航航路において慢性的な遅れがあること,その遅れが日本の欧州輸出に大きな影響を与える可能性があることを明らかにし,定時性向上の方向性を示した.