抄録
鹿児島県本土側の32海岸の砂の色彩を定量的に把握するとともに,それと海岸周辺地域の地質状況との関係を検討した.対象地域の過半を占めるシラス台地の影響の大きい海岸の砂の特徴は,中程度の暗さのこげ茶色を多く持つことであった.完新世の火山活動による火砕流堆積物あるいは苦鉄質火山岩が分布する地域の海岸砂は概ね黒色であった.大隅半島東岸に位置する海岸は花崗閃緑岩により,出水山地より北方の海岸は同山地に分布する四万十層群の付加コンプレックスにより,暗いこげ茶色を持っていた.このように,海岸周辺の地質が砂の色彩に強く影響していることが確認された.