抄録
再生可能エネルギーへの需要が高まる中,海洋エネルギー発電技術の実現が望まれている.瀬戸内海は予測可能な潮流が卓越しており,架橋が施されている場所が多く,既存の橋脚を活用した潮流発電が可能となれば発電施設等の建設コストの削減が期待できる.橋脚を利用した潮流発電では,橋脚近傍に形成される潮流や乱流が発電装置のエネルギー取得効率や装置設計強度に影響をおよぼすことが懸念される.本研究では,大島大橋第4橋脚近傍の海域を対象とし,超音波流速計を用いた潮流観測を実施することで,橋脚近傍で形成される潮流や乱流を詳細に解析した.解析結果より,橋脚近傍の潮流や乱流の分布がエネルギー取得量や効率,発電装置強度におよぼす影響を考慮した上で発電装置の最適設置位置を選定し,当該地点における潮流発電の実現性を検証した.