本研究では,船舶による氷況観測技術の向上を目指して 2014年の北極航海観測で得られたカメラ画像から海面,薄氷,一年氷,古い氷の4種を判別する画像解析法を検討し,氷種観測の汎用性とその有効性,今後の課題を議論した.海氷の有無(海面とそれ以外)の判別では画像での赤成分の平均値,薄氷の判別では色相の平均値,が有効である.一年氷と古い氷の判別では画像での赤と青成分および緑と青成分の違いが有効である可能性を示した.本手法の正確さは,古い氷で高く,薄氷や一年氷でやや低い傾向がある.本手法は,氷種に応じた効率的な船舶航行を実現するための有効な情報の提供や衛星観測による氷種プロダクトを評価する比較・検証ツールとしての利用拡大が期待される.