土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
75 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
和文論文
  • 田中 康弘
    2019 年75 巻1 号 p. 10-17
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,船舶による氷況観測技術の向上を目指して 2014年の北極航海観測で得られたカメラ画像から海面,薄氷,一年氷,古い氷の4種を判別する画像解析法を検討し,氷種観測の汎用性とその有効性,今後の課題を議論した.海氷の有無(海面とそれ以外)の判別では画像での赤成分の平均値,薄氷の判別では色相の平均値,が有効である.一年氷と古い氷の判別では画像での赤と青成分および緑と青成分の違いが有効である可能性を示した.本手法の正確さは,古い氷で高く,薄氷や一年氷でやや低い傾向がある.本手法は,氷種に応じた効率的な船舶航行を実現するための有効な情報の提供や衛星観測による氷種プロダクトを評価する比較・検証ツールとしての利用拡大が期待される.

  • 金 洙列, 武田 将英, 間瀬 肇, 倉原 義之介, 原 知聡, 西山 大和, 川崎 浩司, 水谷 英朗
    2019 年75 巻1 号 p. 18-26
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/20
    ジャーナル フリー

     本研究は,作業船の準備や港湾・海洋工事の施工計画に役に立つ波浪予測法を確立することを目的として,全球波浪予報値と機械学習の一つであるGroup Method of Data Handling (GMDH)における部分表現式を用いた日本沿岸の1週間先までの波浪予測法を提案する.具体的には,常陸那珂港を対象として,3種類の全球波浪予報値とGMDHの部分表現式を利用した1週間先までの波浪予測が可能なモデルを構築し,予報初期値と解析値を用いて精度検証を行った.その結果,有義波高に対しては,アメリカ海洋大気庁波浪モデルとヨーロッパ中期予報センター海洋波浪モデルの2種類の全球波浪データを用いる部分表現式,周期に対しては,日本気象庁波浪モデルとヨーロッパ中期予報センター海洋波浪モデルの2種類を用いる部分表現式が予測精度が良いことがわかった.

和文報告
  • 高木 泰士, Luc HENRY, 水落 拓海
    2019 年75 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    ジャーナル フリー
     倉敷市真備町では西日本豪雨で堤防が決壊し,約2100世帯が全壊した.被害拡大の一因として本支川合流部の背水による水位上昇が指摘されている.一方,高梁川河口は河川改修や臨海開発で川幅が著しく広がっており,瀬戸内海でも日潮差が特に大きい場所に位置するため,潮汐が河川水位に影響した可能性も無視できない.本研究では,洪水時に感潮域が潮止堰の上流側に延伸する可能性や,2018年豪雨で河川水位上昇と上げ潮の時間帯が一致していたことなど,潮汐の影響を各種解析で示した.また,高梁川沿いに現地調査を行い,上流では10m以上も水位上昇したにも関わらず,河口では満潮位程度の水位であったことを明らかにした.以上より,潮汐と河川水位の関係性を考察し,洪水に及ぼす海からの影響について指摘した.
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