2019 年 75 巻 2 号 p. I_474-I_479
我が国沿岸ではアサリ漁獲量が急速に減少している.一方,港湾においては航路・泊地整備や維持に伴い発生する浚渫土を受け入れるための土砂処分場が容量不足になっている.浚渫土を活用して造成した人工干潟をアサリ生息場とする手法が確立できれば,これらの課題を同時に解決する有効な方策になると考えられる.本研究では底質中の硫化物とアサリの肥満度に着目し,細粒なシルト・粘土分含有率の高い浚渫土を人工干潟の造成材料に活用した場合のアサリ生残の推計方法について検討し,現地実験におけるアサリ生残率の経時変化の特徴を再現することができた.