2019 年 75 巻 2 号 p. I_743-I_748
レベル2津波に対しては,防潮堤,海岸林,砂丘や運河などの複数の対策を組み合わせた多重防護による対策が必須である.本研究では,防潮堤と海岸林による多重防護を対象とした水理模型実験および数値解析により,第1波によって防潮堤裏法尻に生じた洗掘孔や,防潮堤と海岸林の間に配置された堀状の構造物が背後の海岸林や津波減災効果に与える影響について検討した.多重防護下において,洗掘孔配置地点における流勢の緩和による津波のせき止め効果を確認した一方で,その背後にある海岸林は水位上昇の影響を受け作用力が増加し,破断等の樹木破壊の危険性が増すことが分かった.また簡易な数値モデルによる解析の再現性と,背後地における洗掘孔が持つ津波減勢効果について,本研究では津波遅延時間に着目して明らかにした.