2020 年 76 巻 2 号 p. I_162-I_167
東日本大震災以降,想定を超えて防潮堤を越流する津波を対象とした対策が求められている.防潮堤背後では,射流の発生等,一般に適用される長波近似の浸水解析では再現できない現象が生じる.また,検討手法の1つであるPRAでは,津波高および堤体高と越流浸水深の関係を求める必要がある.そこで本研究では,防潮堤背後における越流時の浸水特性について水理実験を実施し,その特性について明らかにするとともに,防潮堤のない通過波の浸水深に基づいた評価モデルを構築した.本成果を活用することで,効率的なPRAの実施や,堤体背後地に設置された構造物安全性の検討が期待される.