2020 年 76 巻 2 号 p. I_216-I_221
沖縄本島沿岸を対象に海洋・波浪結合モデルを用いて波浪と高潮を推算し,高波と高潮の同時生起性と継続時間を検討した.太平洋側では高波と高潮のピークが同時生起することもあるが,東シナ海側では高潮のピークの後に高波のピークが出現する傾向にある.那覇では,ピーク時間差を台風経路によって分類でき,高波と高潮は台風通過後の吹き返しによって生じやすい.高波の継続時間は,東京湾沿岸より長く,沖縄本島沿岸の中でも陸による遮蔽の小さな地点で特に長い.その一因として台風による遠方からのうねりがある.高潮の継続時間は,高波ほど地点による差はない.吸い上げ,吹き寄せ,wave setupの寄与が地点によって異なり,そのことが高潮の継続時間にも影響している.