2022 年 64 巻 2 号 p. 66-75
研究目的:2020年度昭和大学歯学部(本学)臨床実習は,COVID-19対策で登院学生数の調整のため外来実習日数の半減とシミュレーション実習時間を削減した。実習を補足する目的でWeb自宅学修を実施したが,臨床実習を補足する教育効果がどの程度であるか明らかではなかった。本研究の目的は,2020年度(試験群)と2019年度(対照群)の臨床実習実技試験(鎌型スケーラーによる模擬歯石除去)点数を比較評価することで,臨床実習におけるWeb自宅学修の教育効果を明らかにする。
方法:第5学年臨床実習生(2019年度111名,2020年度90名)を対象とした。実技試験点数(OSCE点数)の平均値を試験群と対照群毎に算出して比較した。また,Web自宅学修およびシミュレーション実習の履修時期,Web自宅学修評価(鎌型スケーラーによる模擬歯石除去)との関連を解析した。
結果:試験群のOSCE点数は対照群より低かったが,有意差は認められなかった。また,Web自宅学修およびシミュレーション実習の履修時期の違いによる影響はみられなかった。Web自宅学修,シミュレーション実習後のOSCE点数はWeb自宅学修評価と比べて有意に高かった。
結論:Web自宅学修は臨床実習を補足する教育効果をある程度持つ可能性が考えられた。