2020 年 76 巻 2 号 p. I_372-I_377
海上工事において作業区域内の静穏度を一定の範囲内に保つことを目的として,貯水部を備えた浮体構造の仮設式波除堤が提案されている.本研究では,波除堤の波高低減機構を3次元流体・構造・地形変化・地盤連成数値計算モデルによる数値解析により考究した.その結果,既往の水理実験から得られた波除堤岸側での透過率の傾向を数値計算モデルにより概ね再現できることを示した.また,波除堤によるエネルギー逸散率は入射波波長に対する波除堤の幅により変化すること,その変化は波除堤の内部や下部に形成される渦により説明できることを明らかにした.波除堤のバリア高や波除堤内部の自由水の注水深を変化させた数値実験より,波高の低減に最も効果的なバリア高と注水深は入射波波長に対する波除堤の幅に依存していることが判明した.